≪生地作り≫
小麦の持つ酵素を働かせて小麦本来の美味しさを引き出すには手捏ねが鉄則。
摩擦熱で風味や旨味が飛んでしまうのでミキサーで捏ねるのはNG。
ラロッサのピッツァは独自の配合とサーフィンからヒントを得た生地にストレスを与えない【ボンザー捏ね】・ナポリの伝統的な【手捏ね製法】の組み合わせによって生まれます。
≪ナポリピッツァの黄金比率≫
ある2種類の小麦粉を一定の割り合いで組み合わせると、小麦粉の酵素が働いてピッツァが劇的に美味しくなることを突き止めました。
もちろん小麦粉・水・塩・酵母以外の物は添加していません。
小麦本来の旨味と香りを引き出しているだけです。
この配合で焼いているのは日本はもちろんナポリを含めてもラロッサだけ。
なので・・・配合は秘密です。
≪ ミシュラン3つ星 ~夢の様な出来事~ ≫
ある日ひとりのイタリア人がお店に入ってくると、マリナーラとマルゲリータをペロリとたいらげた。
(さすがイタリア人は良く食べるな)と思っていると、彼がピザ場に来てニコニコしながら片言の日本語でこう言った。
「ナポリで食べるより美味しい。君のピッツァは世界一だ!」
私は良い気分になりながらも(イタリア人特有のリップサービスだろう)
くらいに思っていた。
しかし・・・
3日後・・・彼が奥さんと子供を連れて再来店。
彼はマルゲリータとマリナーラ、奥さんはクアトロフォルマッジ、子供はマルゲリータ。
この日も絶賛してくれたこの家族はそれから2年間、なんと毎週食べに来てくれた。多い時は週2回のペースで。
彼は毎回マルゲリータとマリナーラを食べる。
とても気持ちの良い方達で彼らの来店が毎回楽しみだった。
2年後・・・いつもの様にピッツァを食べ終わった彼がじーっと私の方を見ている。
オーダーがきれて私の手が空くと彼が突然ピザ場の中まで入って来て、粉だらけの私の手を握るとこう言った。
「今度仕事でフランスに行く事になった。君のピッツァが食べられなくなるのがとても残念だ。今までありがとう。」
ショックで肩を落とした私が店の外まで見送りに出ると、いったん帰りかけた彼が戻ってきて私の手に名刺を握らせた。
彼らは何度も何度も振り返りながら手を振ってくれた。
店に戻った私は(そういえば彼の仕事知らないな)
そう思って貰った名刺を何気なく見て愕然・・・
《アンティカ・オステリア・デルポンテ エグゼクティブシェフ
フレデリック カルティエ》
オステリア・デルポンテと言えば、私がイタリア料理を志した頃からの憧れのレストラン。
ミラノの郊外に有るこのレストランはミシュランで史上2番目に3つ星を獲得した名店中の名店。
イタリアに行くたびに予約を取ろうとしたのだが、いつも半年先まで予約で満席。タイミングが合わずにいまだ訪問出来ないでいる。
そのお店が初めての支店を東京・丸ビルの最上階に出した。
彼は立ち上げの責任者。つまり総料理長。
その夜は興奮して眠れなかった。
20年以上憧れ続けているレストランのシェフが私のピッツァを食べに通ってくれた。
今までに私のピッツァが世界一美味しいと言った人・・・私とカルティエの二人。