≪ ※注(無駄に長い) ≫

  

小麦粉に取りつかれ、ナポリピッツァを焼き始めてから25年以上。

その間、ピッツァに関してはただの一度も人に教わったことが有りません。

イタリア料理歴は30年。

こちらはこだわりの個人店から有名シェフのイタリアン、ホテルのウエディングまで様々な場所で修業を重ねてきました。

現在はオーナーシェフとして武蔵小山で料理を作っています。

 

《プロフェッショナル》ある道のプロの方の言葉「まずは好きになる事。好きになったらとことんやれ。そればかりやり続けているとバカになる。バカになったらプロになれ。プロとはそれしか出来ないバカなんだ。

でもそのひとつを極める事で人を感動させる事だって出来るんだ」

当たらずとも遠からずといったところか。

 

《ナポリピッツァとの出会い》

20年以上前、ある新店の立ち上げ準備をしていたときの事。

シェフの「ピッツァは誰がやるんだ?」の声に皆無言。

当時ナポリピッツァの店はまだ日本には無く、ピッツァと言えばシェーキーズという時代。

ナポリピッツァの知識・経験の有るコックがいなかった。

新店の調理場はポジションの奪い合い。

「チャンスだ!」と思った私はとっさに「俺にやらせてください」と手をあげていました。

「よしお前にまかせた」と即決。それもそのはず、シェフ自身ナポリピッツァの知識がほとんど無かったのですから。

 

私は製パンの知識、製菓の知識を総動員して生地作りをはじめました。

当時インターネットなどというものは無く、ナポリピッツァの本などもなかったので全くの手さぐり状態。

連日店に泊まり込み、なんとかオープンの前日にはナポリピッツァらしきものを作り上げました。

お客様からも美味しいと評判をいただき、ピッツァ職人としてのスタートをきったのです。

 

4年後・・・店の改装で3ケ月の休み。

姉妹店のヘルプの話もあったのですが私はこの機会にイタリアに行くことに決めました。

本場のナポリピッツァを食べてみたい。自分が作り上げたピッツァと何がどう違うのか・・・

ナポリに渡った私が最初に入ったピッツェリアは「solo pizza」というお店。

「ピッツァだけ」という名のとおりメニューはピッツァしか有りません。

初めて食べた本場ナポリのマルゲリータは衝撃的でした。

想像をはるかに超える生地の旨味、甘味、小麦粉の香り、食感・・・すべてが私のもとは別物。

 

そのままナポリの店で修業するか迷ったのですが、それでは誰かのコピーになってしまう。オリジナルは超えられない。

ピッツァというものがまだ無かった時代に小麦粉を焼いて食べていた人達。

初めてピッツァらしき物を作った人。

彼らは誰に習うことも無く試行錯誤しながら、より美味しいものを求めて進化してきた筈。

よし!ナポリの先人達と同じ道を歩んで自分自身が納得出来るオリジナルのナポリピッツァを作ってやろう。

 

日本に帰った私はシェフに就任。

寝るヒマも無い忙しさのなかで、舌の記憶を頼りに連日生地の試作を続けました。

これが楽しくてしょうがない。

気温、湿度、捏ね時間、捏ねるスピード、力加減、塩を入れるタイミング、酵母の機嫌・・・生地の出来上がりを左右する要素が多すぎて、やってもやっても課題が出てくる。

小麦粉はイタリアの物で良いのか。日本の気候に合うのはどの小麦粉か。

もしかしたら・・を考え始めると試さずにはいられない。

イタリアはもちろん、アメリカ・オーストラリア・カナダ・国産と手に入るものは全部試し、更にブレンドも試していたので組み合わせのパターンは無数。

何千・何万通り試作したのだろうか・・・

 

最近、ナポリピッツァに関していろいろな情報が手に入るようになりました。

私が独自でたどりついた製法は王道のナポリピッツァと95%同じ。

 

ただ1点だけが違う。それは秘密です。

 

今、Pizzeria la Rossaで焼いているピッツァは私にとって世界で一番美味しいナポリピッツァ。

当たり前です。20年以上かけて自分の好みに合うピッツァを作り上げたのだから。

ラ・ロッサのピッツァを食べて「感動した!」と言ってリピートしてくださるお客様もいればそうでない方もいる。これも当たり前。

 

視聴率100%のテレビ番組が存在しないのと同じ

 

ボール遊びが好きで、少年野球からリトルリーグ・高校野球と続けてプロ野球選手になる人はいます。

でも大人になってからプロ野球選手に1年や2年教わってもプロ野球選手にはなれない。

どれだけ悩んで、失敗を繰り返し自分自身の法則を身につけたかがプロとしての財産。

ゼロからスタートして、誰の力も借りずオーナーシェフになった私はプロになりました。

プロになった以上自分のスタイルは変えない。変えられない。

そんなこんなで今日も窯の前に立っています。